まもコラム

ケアプランについて知ろう! ケアプラン作成の4つのポイントとは?

ケアプランについて知ろう! ケアプラン作成の4つのポイントとは?

ケアプランとは、「要介護認定を受けた方が介護保険を利用した介護サービスを受ける際に必要となる介護の計画書」です。
その中身は、サービスを利用する方(以下、ご利用者)の生活上のニーズや心身の状態に合わせ、必要と思われることを叶えるための目標やサービス内容が書かれています。そして、ご利用者はこれに沿ったサービスを利用することができます。一般的にケアプランの作成は、都道府県から介護支援専門員(ケアマネジャー)として認められたものが行うことがほとんどです。

ケアプランとはどういったものかイメージしやすいように例を紹介します。

足腰の力が衰えて歩く能力が低下した80歳の女性がいます。
歩く能力が低下したことで次のような変化が生活に起こり始めました。
⇒ 近所のスーパーへ1人で歩いて買い物に出かけることが不安になった。

スーパーへ買い物に出かけることができないと、生活に必要な食料品を入手することができず、この女性の生活は成り立たなくなってしまいます。
そこで、この女性は要介護認定を受けて介護保険を利用したサービスを受けることになりました。女性を担当したケアマネジャーは、1人で歩くことの不安を解消するために「ホームヘルパーが買い物に同行する」ことをケアプランに盛り込みました。こういった具体的な支援の内容がケアプランには記されています。
それでは、ケアプランについてさらに詳しく見ていきましょう。

ケアプラン作成の流れ

ケアマネジャーは基本的に次のような流れでケアプランを作成します。

1.ご利用者に関する情報の収集

ここで言う情報とは、生活に関わるご利用者のニーズや心身の状態、自宅等の生活環境などのことを言います。
ケアマネジャーは集める情報にできるだけ漏れがないよう、ご利用者の要介護認定の際に行われる認定調査の結果の帳票を読み込み、その他にも心身の情報を把握することを前提にしたアセスメント表をベースに、かかりつけの病院や市町村に設置されている高齢者福祉の担当者からの話を聞くなどしています。
こういった情報収集のツールを活用しながら情報を集め、ご利用者の生活へのニーズや支障のあること、置かれている状況を情報として、ケアプランを作成する前に把握します。

2.アセスメント

集めた情報を、まとめる・分析する・サービスを提供した場合にどのような結果につながるのか予測するなどの作業をアセスメントと言います。この作業はとても重要で、アセスメントの出来次第でケアプランの良し悪しが決まってしまうと言っても言い過ぎではないでしょう。

上記であげた足腰の悪い女性の例も、アセスメントしだいでケアプランの内容は大きく変わってしまいます。
例えば、一人で歩くことは不安であるけれども、人が側に付き添うまで歩行する能力が低下していないというアセスメントの結果がでたとします。そうなると、ホームヘルパーの同行ではなくシルバーカーを使うことにして、これまで通り一人でもスーパーへの買い物をできるように環境を整えようという内容のケアプランを作ることも可能です。

あくまでも例なのでどちらの内容がいいのかといったものではありませんが、アセスメントしだいで提供されるサービスに違いが出てくることは理解していただけたかと思います。

3.ケアプラン作成

情報を集めアセスメントをした内容をもとにケアプランの作成にとりかかります。
ケアプランには定められた様式があり、それに沿って総合的な援助の方針や生活上の目標、目標の達成時期、必要なサービス、回数などを決めていきます。
ただし、この時点で完成というわけではありません。サービス担当者会議と呼ばれる会議を開き、ケアプランについてご利用者の介護に関わる者の意見を聞く必要があります。会議に参加するのは、ご利用者やその家族、医師や看護師、栄養士などの専門職が一般的です。
この全員にケアプランの内容を伝え、ご利用者のニーズが反映されているのか、専門職の視点でケアプランに記載されているサービスが妥当なものなのかなどの意見を聞き取り、それらの声をもとにケアプランを修正します。修正したケアプランにご利用者やその家族から同意を得て、ケアプランは完成となります。

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ケアプランを作成する
4つのポイント

ケアプランを作成するうえで、筆者である私自身が気をつけていることを紹介します。
ケアマネジャーによって違いはあるかもしれませんが、ケアプランについて理解を深める参考にしてみてください。

1. 適切なアセスメントをこころがけているか

上記でもお伝えしましたが、アセスメント次第でケアプランの内容は大きく変わってしまいます。
どのケアマネジャーもアセスメントをしっかりとしてよいケアプランを作りたいと思うものですが、ケアマネジャーの能力はみんなが同じというわけではありません。
ケアマネジャーも人によって得意不得意があると言えるでしょう。なぜ、得意不得意が生まれるのかと言うと、大きな要因の一つにケアマネジャーになるために必要な資格が多岐に渡ることが挙げられます。

ケアマネジャーになるための資格はたくさんあるのですが、その中の資格で、看護師介護福祉士を例に得意不得意について考えてみます。
同じ試験や研修を受けたケアマネジャーであっても、病院に勤め医療における専門性の高い看護師と、介護施設で働き生活の支援をしてきた介護福祉士では、得意な分野や備わっている知識・経験は全く異なります。このことがケアマネジャーの得意不得意につながってしまいやすいのです。不得意と言うとネガティブなイメージを持つかもしれませんので、得意分野が異なると言ってもいいかもしれません。
つまり、得意分野のアセスメントは広く深く行いやすいのですが、そうでない場合にはどうしてもうまくいかない場合があるということです。

このように得意分野が異なるのは仕方のないことですが、できるだけ差が生まれないように、アセスメントのツールなどを利用しながら、客観的で的確なアセスメントができるように工夫をすることが大切です。

2. 提供したサービスを評価してケアプランを見直しているか

ケアプランを作成するうえで、アセスメントと同じように大切なのがモニタリングと呼ばれる作業です。
モニタリングとは作成したケアプランや、それに沿って提供されたサービスについて評価する作業のことを言います。ケアプランにあげた目標は達成されたのか、サービスは適切に提供されていたか、よい結果が得られなかったのであればなぜそうなったのかなどを評価します。

大抵の場合は一度作ったケアプランの内容が変わらないことはまずありえません。
例えば、サービスを提供してよい結果が得られたのであれば、よりよい結果を得ることや効率化を目指します。思わしくない結果であれば改善をする必要があります。こういった見直しをするためには、提供してきたサービスの評価がどうしても必要になると言えるでしょう。
評価した内容はアセスメントを行い、ご利用者の生活がよりよいものとなるよう一定の期間ごとにケアプランを作成し直します。

3. ご利用者の「自立支援」を交えたケアプランとなっているか

ケアプランはご利用者がその人らしく、できる限り自立した生活を送るためのものです。ケアプランの内容がご利用者のやる気を奪ってしまうものや、傷つけてしまうものにならないよう十分配慮されたものである必要があります。
そのため、ケアプランを作る際には次のようなことに気をつけています。

  • ご利用者のできないことばかりをあげた内容にしない
  • 介護サービスだけでなく本人や家族の役割も考えて記載する
  • ご利用者や家族の意向を反映させる
  • ケアプランを見て、自立した(自分らしい)生活を送ろうとする気持ちが削がれるような内容、言葉づかいを使わない

ご利用者の自立したい気持ちに寄り添うようなケアプラン作成をこころがけましょう。

4. 頻度や時間をはっきりさせているか

どれだけ、アセメントやモニタリングをしっかりと行い、ご利用者に適したサービスの内容を考えたとしてもサービスを行う頻度や時間(タイミング)を間違えるとご利用者の生活が成り立たなくなってしまう場合があります。

例えば、認知症で5分前の出来事を忘れてしまい、食後の薬を飲み忘れてしまう方がいるとします。飲み忘れなく薬を服用していただくために介護職員が服薬の手伝いをする必要があるのですが、服薬の声がけを「食事の1時間前に声をかける」のと「食後すぐに声をかける」のでは、結果が大きく異なる可能性があります。食後すぐに声をかければ薬を服用できるでしょうが、食事の1時間前に声をかけているようでは忘れてしまうのは目に見えています。
これは極端な例ですが、このようにタイミングや頻度はとても重要なので、ケアプランを作る際には十分に注意する必要があるでしょう。

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まとめ | ケアプランの重要性

ここまでケアプランの作成について、必要な作業やその内容をお伝えしてきました。
そもそも、ケアプランの作成は介護保険法のもとで行われています。介護保険法の第一章・第一条には、大切なことが書かれています。
内容をまとめると、「介護が必要な状態となっても尊厳を保ちながら自分らしく生活できる権利があり、そのために必要な医療や福祉のサービスを受けることができる」と記されています。
ご利用者の尊厳(その人がその人らしく生きる権利)を守り、自立した生活を送るための計画書がケアプランです。ケアプランには、ご利用者それぞれに必要なことがケアマネジャーによってまとめられており、ご利用者が適切なサービスを受けるための重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

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【参考サイト】

有田 和弘

介護の現場で介護スタッフ・介護支援専門員として10年以上の経験を積む。
現在は小規模多機能型居宅介護施設で介護支援専門員として高齢者の生活支援に携わりながら、介護に関する記事を書くライターとしても活動中。

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