まもコラム

地域包括ケアシステムで大きな役割を果たすケアマネジャーの仕事とは?

地域包括ケアシステムで大きな役割を果たすケアマネジャーの仕事とは?

前回の記事では、地域包括ケアシステムと介護ロボットの関係に着目しました。
地域包括ケアシステムを進める上で、介護ロボットの導入が介護者の負担軽減や、利用者の自立に繋がることをお伝えできたと思います。また、地域包括ケアシステムを支える存在としてケアマネジャーを挙げました。
今回は、そんなケアマネジャーが具体的にどのような仕事をしているのか、その役割も含めて詳しく見ていきたいと思います。

ケアマネジャーとはどのような仕事?

ケアマネジャーは介護保険制度に欠かせない存在と言われています。では、そんなケアマネジャーの仕事には、どのようなものがあるのでしょうか。また、どのような人がケアマネジャーになれるのでしょうか。
この章では、ケアマネジャーの仕事と役割について詳しく見ていきましょう。

ケアマネジャーの仕事と役割

ケアマネジャーの仕事には、大きく分けて次の2つがあります。

1.ケアプランの作成

1つ目は、ケアマネジャーの最も大きな仕事であるケアプランの作成です。
ケアプランとは、介護保険サービスを利用するための計画書です。ケアプランには、主に次のような内容が記載されています。

  • 利用する介護サービスの内容とスケジュール
  • 利用者本人の抱える課題と目標
  • 利用者や家族の意向
  • ケアマネジャーと利用者、家族とのやり取りの記録 など

ケアプランを作成するためには、高齢者本人に面会して現状を把握しなければなりません。
そのため、定期的に本人の状態を把握するモニタリングといった、ケアプランの作成に必要となる業務もケアマネジャーの大切な仕事と言えるでしょう。

2.介護サービス事業者との調整

2つ目は介護サービス事業者との調整です。
ケアマネジャーは普段から介護サービス事業者と連絡を取り、高齢者の情報を共有しています。もし、高齢者本人との関わりの中で変化があった時には、必要に応じてサービス内容を変更することもあります。
一人ひとりに適切なプランを作成するためにも、介護サービス事業者との情報共有は非常に重要です。

どのような人がケアマネジャーの資格を取得できる?

ケアマネジャーは介護保険法に規定された専門職です。
その仕事内容や役割から、保健や福祉、医療分野での経験が必要になります。そのため、下記の国家資格を有する人や、規定された相談業務に携わった経験がある人でなければ受験できません。
また、国家資格に関する業務および既定の相談業務の実務経験が、従事期間5年以上、従事した日数が900日以上である必要があります。

【受験対象となる国家資格】

▶医師および歯科医師 ▶薬剤師 ▶保健師 ▶助産師 ▶看護師および准看護師 ▶理学療法士 ▶作業療法士 ▶言語聴覚士 ▶義肢装具士 ▶あん摩マッサージ指圧師 ▶はり師およびきゅう師 ▶栄養士および管理栄養士 ▶歯科衛生士 ▶視能訓練士 ▶柔道整復師 ▶社会福祉士 ▶精神保健福祉士 ▶介護福祉士

【受験対象となる実務経験】

  • 介護保険法に規定する施設で相談業務に従事する者
  • 障害者自立支援法に基づき計画相談支援を行う者
  • 児童福祉法や生活困窮者支援法に基づき相談業務を行う者

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ケアマネジャーの具体的な仕事内容について知ろう

ケアマネジャーが活躍する職場として代表的なものは、「居宅介護支援事業所」・「地域包括支援センター」・「介護施設」の3つです。
それぞれの職場によって、ケアマネジャーが担当する仕事には違いがあります。具体的にはどのような仕事をそれぞれ担当しているのでしょうか。1つずつ詳しく見ていきましょう。

1.居宅介護支援事業所

居宅介護支援事業所とは、自宅で生活している高齢者を対象とした支援を行うケアマネジャーが在籍している事業所です。
また、介護保険の制度上、自宅と同等と位置付けられている住宅型有料老人ホームや、サービス付き高齢者向け住宅に入居している方の支援も担当しています。

居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、ケアプランの作成のほか、利用者の心身状態や生活状況、ケアプランの目標の達成状況などを確認しています。
利用する本人だけでなく、家族がどのように利用者を支えているかなども把握した上で、関係機関との連絡や調整なども行っています。

自宅での生活が難しくなり、施設入所を希望された場合には、施設の紹介や入所までの調整も行います。その他、利用者がいつまでも自宅で生活できるよう、必要に応じて生活保護の申請などの支援を行うこともあります。

2.地域包括支援センター

地域包括支援センターとは、地域で暮らす高齢者をサポートする拠点として設置されている機関です。
自治体が直営している場合と、高齢者支援を行う法人などに委託している場合があります。

地域包括支援センターのケアマネジャーは、要支援者を対象としたケアマネジメントを担当しています。要介護者のケアマネジメントは行えません。
具体的には、ケアプランの作成や連絡調整、利用者の定期的なモニタリング、施設入所希望時の紹介などを行っています。

また、地域包括支援センターの特性上、地域との繋がりを大切にするために必要な関係性の構築のため、ケアマネジャーが地域活動などを兼任している場合もあるでしょう。

3.介護施設

介護施設に勤務するケアマネジャーは、施設入所者のケアマネジメントを担当します。
対象となる施設は、特別養護老人ホーム介護老人保健施設、介護医療院といった介護保険施設グループホーム小規模多機能居宅介護などです。

介護施設のケアマネジャーは、これらの施設における生活を中心としたケアプランの作成や、支援を主に行っています。
実際には、終の棲家としての役割を持つところなのか、自宅復帰を目的にしているのかといった施設の特性に合わせて、その人の希望や心身状態に応じたケアプランを作成します。

居宅介護支援事業所や地域包括支援センターのケアマネジャーと、介護施設のケアマネジャーの大きな違いは担当できる件数です。
前者は1人のケアマネジャーに対しおよそ35件までなのに対し、介護施設のケアマネジャーは最大100件程度となっています。また、介護施設のケアマネジャーは介護業務や相談業務と兼任することも多いでしょう。

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これからますます大きくなるケアマネジャーの役割

人は高齢になったり体に障害が生じたりしても、自分らしく生活したいと思うものです。
そのような中で、介護保険サービスを上手に活用することができれば、様々な支援を受けながら生活することができます。そうした充実した支援を高齢者が受けられるようお手伝いをしているのがケアマネジャーなのです。
ケアマネジャーはケアプランの作成や、介護サービス事業者との調整を行うことなどで高齢者の生活をサポートします。今後、地域包括ケアシステムが進んでいけば、ケアマネジャーの役割はますます大きくなっていくことでしょう。

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【参考サイト】

中村 楓

介護職として十数年のキャリアを継続しながら、介護の世界をより良いものに変えていきたいという夢を持つ介護福祉士です。
介護専門ライターとして、介護に関わる記事を多数執筆してきました。

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