まもコラム

介護現場のICT化を成功させたい!
代表的なICT機器とICT化を成功させる2つのポイントを紹介!

介護現場のICT化を成功させたい!  代表的なICT機器とICT化を成功させる2つのポイントを紹介!

はじめに

介護の現場でも「ICTを活用して〜」といった表現を耳にする機会が増えてきました。
「なんとなくICTという言葉は使っているけど、正確な意味はよくわからない…」
という方も多いのではないでしょうか。

ICTとはInformation and Communication Technology」の略称です。
似たような用語としてITInformation Technology)がありますが、そこに「コミュニケーション」が加えられているところが特徴で、ネットワーク通信によって情報を共有できる、というポイントがより強調された用語です。

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このICTを活用したサービス・機器は、下の図のように大きく4種類の分野に分類することができます。

  1. コンテンツ・サービス:SNS、動画配信など
  2. クラウド・データセンター:オンラインストレージなど
  3. ネットワーク:光ファイバー、5Gなど
  4. 端末機器:スマートフォン、パソコンなど

引用元:総務省 情報通信白書

いずれの分野も、現代の私たちの生活になくてはならない、インフラのような存在になっていると言えるのではないでしょうか。介護業界でも、ICT化の流れは確実に進んできています。

この記事では、介護現場でのICT機器導入について、
 「興味はあるけど、どういうものがあるのだろう…」
 「導入してもうまく使いこなせるのかな…」
とお考えの方に、介護現場で実際に導入されている代表的なICT機器、導入することで得られるメリットや施設のICT化を成功させるポイントをご紹介します。

介護現場でのICT機器導入事例と導入メリット

ここでは、具体的に導入されているICT機器と、導入することで得られるメリットをいくつかご紹介します。

① インカム・トランシーバー

以前は介護施設でのスタッフの連絡手段といえばPHSが主流でしたが、
 「ポケットに入れていて気づかないことが多い…」
 「介助中に呼び出されても手がふさがっていて出られない…」
といった問題点があり、代わりにインカムを導入する施設が増えてきています。

インカムを使用するメリットとしては、

  • リアルタイムで情報共有できる
  • 全てのスタッフに呼びかけられる
  • 手を使わずに使用できる

といった点が挙げられます。

たとえば、自分は介助中で手が離せない状況であっても、別のスタッフから「転倒している入居者がいる」という情報が入った場合、すぐにその場でインカムを用いて「〇〇号室の□□様がお部屋で転んだようです。ヘルプに行ける方いますか?」とその日に勤務しているスタッフ全員に呼びかけることができます。

このように、すぐに情報を共有して対応しなければ、という場面でインカムは大きな力を発揮してくれます

② クラウド型介護ソフト

病院などの医療施設では、2000年代初頭から比較的スムーズに電子カルテの導入が進んできた印象があります。

それに対して介護施設では、未だに紙ベースで介護記録を管理していたり、FAXで他事業所と情報をやり取りしているケースも多いです。

介護関係の記録は、転記作業(複数の用紙に同じ内容を書き写すこと)が非常に多いという特徴があります。
しかし、同じ内容を何度も手書きで書き写していては非常に時間がかかりますし、誤字や書類の取り違えなど、ヒューマンエラーも起こりやすくなってしまいます。

そうした不便さを解消するために、クラウド型介護ソフトを導入する施設が増えてきています。

クラウド型介護ソフトを使用するメリットとしては、

  • 記録・転記に要する時間が圧倒的に少ない
  • 必要な情報にすぐアクセスできる
  • 用紙、ファイル、保管場所といったコストの削減

といった点が挙げられます。

例えばミーティングで「入居者の〇〇様が、昨年6月に体調を崩された際の体重の変化と食事量のデータはありますか?」と聞かれた際に、紙ベースで記録を管理している施設であれば、まずファイルが保管している部屋に行って、ファイルを探して…と手間・時間がかかってしまいます。

介護ソフトであれば、条件を入力し検索するだけなので、数秒で必要な情報を取り出して、残った時間で有意義な話し合いをすることができます。
もちろん、ソフトの導入に際してコストはかかりますが、長期的には介護サービス自体の質を高める、という効果が期待できます

③ 見守り支援システム

インカムや介護ソフトについては実際に使用している方も多いと思いますが、見守り支援システムについては、施設によってはまったく導入していないところもあるため、どういうものかイメージが湧かないという方も多いかもしれません。

見守り支援システムとは、ベッドや居室内に設置したセンサーによって入居者の方の状態を把握し、体調に変わりがないかチェックするシステムのことです。

代表的なものとしては、下記のような製品があります。

「まもる~のSHIP」は、ご利用者のベッドに設置することで、睡眠やバイタル(脈拍・呼吸)、離床、居室内環境(温度・湿度・照度・気圧)を的確にとらえ通知でお知らせする、介護施設向け見守りロボットです。スタッフが居室を訪れなくても「まもる~のSHIP」がご利用者の異変を察知し、リアルタイムに必要な情報だけをお知らせします。

このような見守り支援システムを使用するメリットとしては、

  • 転倒、事故など急なアクシデントにすぐに対応できる
  • スタッフの見回りの負担が軽減できる
  • 生活リズムを分析することで、よりきめ細かい介護が可能になる

といった点が挙げられます。

たとえば、活気がない様子の入居者の方がいた場合、見守り支援システムのデータを見ると

  • 最近あまり睡眠がとれていない
  • 夜のトイレの回数が多い

といった傾向が分析できます。

そうした分析をもとに、お薬の量・種類を調整やトイレで起きやすい時間をねらって訪室しサポートする、といった対策を講じることができます。

見守りシステムと聞くと安全管理の面が注目されがちですが、このようによりきめ細かいサービスを提供する、という意味でのメリットも大きいと言えるでしょう。

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介護現場でのICT機器導入の課題

介護現場におけるICT機器の活用は多くのメリットがありますが、導入にあたって大きな課題になるのが導入コスト」と「スタッフの苦手意識です。

① 導入コストがかかる

施設の規模にもよりますが、介護システムやタブレットなどICT機器の導入には、まとまった額の初期費用がかかりますし、維持・管理費といったランニングコストもかかります。

国や地方自治体によるICT導入支援事業などの補助金など、コストを軽減する方法についても情報を入手し、制度を有効活用していきましょう。

② スタッフの苦手意識

新しい機器を導入するということは、当然これまでやってきた方法を変えて、操作方法などを一から覚える必要があります。

特にスタッフの年齢層が高い職場では、拒否反応が出ることも十分考えられます。
機器の操作に慣れているスタッフが先生役になり、業務時間の中で操作の練習ができるようにするなど、苦手意識を持たずに使い方を習得できるようなサポート体制を整えることが重要です。

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介護現場でのICT機器の導入を成功させる2つのポイント

最後に、介護施設でICT機器の導入を成功させるための2つのポイントをご紹介します。

① 業務が効率化され、働きやすくなったことを実感してもらう

現場で働くスタッフにとっては、ICT機器を使うことで、
 「残業が減って家族と過ごす時間が増えた!」
 「夜勤が楽になって体調がよくなった!」
 「ミーティングの時間が短縮できた!」
といったメリットを実感できることが一番重要です。

残業時間の変化など、具体的に導入前後で良い方向に変化した点を、データとしてスタッフにフィードバックすることも効果的でしょう。

中には実際の機器を貸出しているメーカーもありますので、まずはお試しで導入してみるのも一つの手です。

サービス導入に
関するご相談・ご不明点など
まずはお気軽にご相談ください。

② ICT化が「質の高いケア」につながるという意識を持ってもらう

ICT化により業務が効率化されることで、介護の本質とも言える「利用者の方と向き合う」時間をしっかり確保することが可能になります。

ICT機器を導入することは「より質の高いケアを提供できるチャンスである」という前向きな意識をスタッフ間で共有し、職場全体のモチベーションを高めていきましょう。

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おわりに

ここまで、介護施設におけるICT化のメリットと、導入するうえでのポイントについて解説しました。

ICT機器の導入は、手間やコストの面に目が行きがちですが、うまく活用することでケアの質を大きく上げることも可能です。施設や事業所の現状に合ったICT機器の導入をこの機会に是非ご検討ください。

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【参考サイト】

奥山 和人(おくやま かずと)

理学療法士・パーソナルトレーナー。
「姿勢と動作の専門家」として子育て世代のパパ・ママのコンディショニングや、子どもの運動遊び指導をメインに活動中。
また、機能訓練指導員として介護現場で高齢者のリハビリテーションにも長年関わる。脳科学・心臓リハビリテーションといった豊富な医学的知識を活かした講座・セミナー開催、コラム執筆なども多数。
プライベートでは3児のパパとして子育てに奮闘中。

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